なんやかやと

2007/04/28


何から、と迷うことですが。ここのところ、忙しくてものをまとめることができにくくて。

列車内でレイプ事件が起きている間、乗客が何もしなかった・できなかったことについて、あれやこれやといわれているけれどもその場に実際に居合わせたわけではない第三者が、ことが起きた後でなら何でも言えるともいえるかもしれない。二度とおきてはならない、起きて欲しくない、起こしてはならない事件だけれども、もしそういう場に居合わせたら、自分ならどうするか、何ができるのかを考えてみることは意味があるかもしれない。容疑者が一番悪いのだということをしっかり確認しておくことにする。

ロシアのボリス・エリツィン元大統領が亡くなり、葬儀に日本の要人が誰一人参列しなかったのが、実際のテレビ中継を見ていてとても気になっていたのだけれど、大使以外はやはり誰も行かなかったらしい(毎日新聞、関連記事1)、と。何でそうなるの?と。エリツィン氏は、第二次大戦後に日本兵をシベリア抑留したことについて、来日時に公式に謝罪したひとでしたわね。弔問外交という実質的な利益の他に、自国民に対して誠意を示したひとに対して弔意を表すということができない、軽薄な日本人??

何か、最近の日本人は世界に対してあまりにも内向きになりすぎているのではないのかしら、と。

戦時中の強制連行と慰安婦問題について、4/27に出た最高裁の判決(毎日新聞、関連記事2)。強制的に連れて来られ、奴隷のような労働をさせられた方々、亡くなられた方々がどのくらいおられたのかについての正確な数はわかっていないという。まるで動物のような扱いだという気がする。最高裁は、かれらの過酷な状況については認めているのに。慰安婦にさせられていた当時から今に至る長い人生において、もし慰安婦にさせられなかったらあったであろう普通の、当たり前の人生を送ることができないできた、取り返しのつかない境遇にあったことについては認めているのに、その一人ひとりの被害者について、相手の国に補償を求めることはできないと。原爆の被害者たち…ヒバクシャという国際語になった…は、原爆を落としたアメリカに対して補償を求められないし、アメリカ人は「戦争を早く終わらせるために使った」などという論理で、その後60年以上に渡り、次やその次の世代にまで影響を及ぼしている後遺症に対する補償を求めることができないということは不当ではないのか、と。戦争などの無法地帯の混乱の中で被った被害は、相手が国の場合はやられ損だということ。

(自衛隊を「国際平和」のために「集団的自衛権」の行使ができるようにする、などというけれども、自衛隊が武力行使をするとすれば、武器の向こうにいる相手はとりもなおさずナマ身の人間であり、当然家族や友人がいて、当然命はひとつしかないのも我々と同じことだということをどれだけ身にしみて感じているのか、と。戦後60年以上にわたって幸いにも日本人はよその国のひとを国家(この場合国=軍)としては一人も殺めずに済んできたのに?)

ヤスクニ問題について、フランス人に対してフランス語で講義をしたひと(東大教授、高橋哲哉氏)の講義録「『靖国問題』講演抄録」(の邦訳)が「ル・モンド・ディプロマティーク」に出ている。この講義を聞いたフランス人たちの中には、少なくとも日本にも「一般的(国外の人々が一般的に持っていると思われる第二次世界大戦に対する)」な認識を持っている日本人がいることを理解してくれたのではないかしらん。

関連記事1および2を、web上で読めなくなるかもしれないので以下に全文掲載します。

関連記事1:エリツィン葬儀:「要人派遣せず」に与野党から批判

 23日死去したロシアのエリツィン前大統領の葬儀に、日本政府が要人を派遣しなかったことが波紋を広げている。葬儀には米国のブッシュ元大統領、クリントン前大統領ら各国の元首級の要人が参列したが、日本からは現地の斎藤泰雄駐露大使。麻生太郎外相は27日の衆院外務委員会などで「間に合う飛行機がなかった」と釈明したが、不発に終わった「弔問外交」に、与野党から政府の機動力不足を指摘する声が出ている。

 「日露関係の緊密化のためには、大使よりもハイレベルな特使の派遣が必要だったのではないか」。公明党の丸谷佳織衆院議員は同日の衆院外務委で、斎藤大使を出席させた政府の対応を批判。民主党の武正公一衆院議員も衆院テロ防止・イラク支援特別委員会で同様の批判を展開した。

 25日の葬儀にはクリントン、ブッシュ両氏のほか、各国からケーラー独大統領、メージャー前英首相ら多くの要人が参列した。

 麻生外相は答弁で(1)ロシアから「各国代表団の公式招待はしない」と表明があった(2)葬儀の通報を受けたのは24日午前で、商用機では葬儀に間に合う便がなかった--と強調。対露外交の重鎮・森喜朗元首相の派遣も検討したが「チャーター便の手続きが間に合わなかった」とし、「数十人乗りの小さなチャーター便で(緊急の海外出張に)行ける(体制)というのを、今後考えるべきではないか」と述べた。

 だが、隣の韓国は韓明淑(ハンミョンスク)前首相が死去の報と同時にモスクワに飛び、葬儀に間に合った。丸谷氏に「すぐ弔問に行くことは考えられる」とただされた麻生外相は「亡くなったと同時に(特使を)送っておけば、こんな(大使出席という)ことにならなかった。反省の一つ」と答えた。エリツィン氏の死去発表直後(24日未明)に出されたのが麻生外相の談話だけで、安倍晋三首相のコメントが出なかったことにも、外務省内などから疑問の声が出ている。

 外国要人の葬儀を巡っては05年4月、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世の葬儀に小泉純一郎首相(当時)の特使として川口順子首相補佐官(同)が出席。葬儀にはブッシュ米大統領やブレア英首相ら、世界180を超える国・地域から元首・首脳級の要人が参列しており、首相が出席しなかったことが国内で問題視された。【中田卓二】

毎日新聞 2007年4月28日 3時00分

関連記事2:慰安婦訴訟:中国人女性2人の賠償請求を棄却 最高裁
横断幕と原告の写真を持ち第2次慰安婦訴訟の最高裁判決に臨む弁護団と傍聴希望の支援者=東京都千代田区隼町で27日午後1時31分、塩入正夫撮影

 第二次世界大戦中に旧日本兵に暴行されたとして、中国人女性2人(1人は故人)が日本政府に賠償を求めた「慰安婦」訴訟で、最高裁第1小法廷(才口千晴裁判長)は27日、原告側の上告を棄却した。判決は、暴行被害を事実と認定した2審の判断を支持し「苦痛は極めて大きかった」と指摘する一方、同日午前の強制連行訴訟の第2小法廷判決と同様に「日中共同声明により裁判で賠償を請求することは出来なくなった」と述べた。

 最高裁は同日、中国から強制連行され戦後13年間、逃亡生活を送った故・劉連仁さんが国に賠償を求めた訴訟(1審原告勝訴、2審で逆転敗訴)▽福岡県の炭鉱に強制連行された中国人男性15人が国と企業に賠償を求めた訴訟(同)▽中国人元慰安婦4人が国に賠償を求めた訴訟(1、2審とも原告敗訴)--の3件で、原告側の上告を棄却する決定を出した。【木戸哲】

毎日新聞 2007年4月27日 20時44分

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